全国盲ろう者協会発行の「コミュニカ62号」(2021年春号)に古川事務局長の文章が掲載されました。
「コロナで変わった生活」のタイトルで、コロナ禍で変わった生活や仕事、友の会のことなどが書かれています。
全国盲ろう者協会様の許可をいただき掲載します。
ひとりでも多くの方に読んでいただき、コロナ禍での盲ろう者のことを少しでもわかっていただければ幸いです。
「コロナ禍で変わった生活」
古川竜一郎
皆さん、こんにちは。長崎盲ろう者友の会・あかり事務局長の古川竜一郎です。
昨年から日本でもコロナ感染者が増えています。
ウイルスは見えないので怖いです。外出も減りました。
私が大好きなグルメめぐりができません。妻も大好きな買い物に行く回数が減りました。二人ともストレスが貯まっています。
仕事は、私は鍼(はり)とマッサージの治療院を営んでいます。近くの整骨院の先生が感染されたときは患者さんが激減しました。訪問マッサージの手伝いもしていますが、仕事が減っていて今後が心配です。
妻は就労支援事業所に行っていますが、販売活動ができず工賃が減っているようです。(涙)
コロナが流行し始めた昨年春から私が心がけていることは、マスクの着用、手洗い、うがい、3密をさけることです。それでも、いつ感染するかわかりません。
もし妻が感染したら、触手話や点字などでしかコミュニケーションができないので、医師や看護師さんと意思疎通ができず、入院することになったら心配です。
その時は私も一緒の部屋に入院させてもらうつもりです。自分が感染することより、妻がコミュニケーションが取れずに辛い思いをすることを考えると耐えられません。
私は難聴でなんとか聞き取りができるので、自分だけが感染したら一人で入院します。
盲ろう者友の会の行事もほとんどできません。「他の盲ろう者はどんな生活をしているんだろう?」と妻と話をしています。
訪問して話をすることも難しいので、友の会でアンケートをしました。
ほとんどの盲ろう者は「コロナは怖い、早く収まってほしい」「ワクチンや特効薬が早くできてほしい」と解答がありました。
中には10万円の給付金を知らない方もいました。私たちには情報が入りにくいとあらためて思いました。
そんな中、6月に新聞の取材を受けました。盲ろう者が困っている現状を一生懸命話しました。
その記事を読んだ長崎大学の医学性からインタビューの依頼がありました。
「コロナで盲ろう者が日常生活で困っているか知りたい」、「医療現場で必要な支援について考え、九州の研修会で発表したい」とのことでした。
買い物では、お金の受け皿がどこにあるかわからないことや、店員さんもマスクをしているので言葉が聞きにくいとか、介助者との移動が必要なのでどうしても密になってしまうことなどを、実際に買い物に同行して見てもらいました。
「お医者さんに望むことは?」と聞かれ、妻は「いろいろなコミュニケーションが取れる、そして盲ろう者のことを理解してくれる、いいお医者さんになってください」と話をしていました。
コロナで社会全体が大変な時です。でも、私たち盲ろう者のことを一人でも多くの人に伝えて行きたいです。コロナのワクチンや治療薬が開発され、私たちが安心して暮らせる日が1日も早く来ることを願っています。
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